2021.06.22

コラボ企画

【インタビュー】おそらく世界初! オス&メスのフウセンウオと脱皮するタカアシガニができるまで。

こんにちは、すっかり水族館ファンになってしまいそうなライターのいしだです。さて、相模湾、どこにあるかご存じですか? 答えは神奈川県。シラス漁で知られる相模湾は、まさに海の生きものの宝庫なんです。今回は、湘南・江の島にあり、相模湾のさまざまな生態を展示している新江ノ島水族館さんに、YOU+MORE!とのコラボについてお話をお聞きしました。
生きものの命をつなげることに命を賭けるマニアック&アカデミックな飼育員・鈴木さんと、その熱い思いにこたえるべく奮闘したYOU+MORE!プランナーのぶっちゃけ対談、はじまります!
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シラスの展示に深海の研究、イルカショーも。新江ノ島水族館は見どころ満載!!

鈴木さん、こんにちは。今日はお時間をいただきありがとうございます。
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鈴木:よろしくお願いします。


新江ノ島水族館(えのすい)って、どんな水族館なんですか?
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鈴木:ひとことで言うと、「相模湾の環境と生きものを見せる」ということにこだわった水族館です。博物館としての役割も担っています。相模湾は生物の宝庫と言われ、世界でも類を見ないほど、さまざまな生態環境を持っています。岩場があり、砂浜があり、干潟があり、また、日本で2番目に深い湾で、深海もあります。えのすいでは、表層から深海まで、いろいろな生きものを展示しています。
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楢崎:新江ノ島水族館といえば、シラスですよね!


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鈴木:はい、シラスの展示はおそらく世界一だと思います。えのすいでは、シラスの常設展示やシラスーカタクチイワシの繁殖展示に世界で初めて成功しました。その後、累代繁殖を続け、現在では水族館生まれ飼育下8世が誕生しています。卵が孵化して、シラスの透明な状態からウロコができて成魚になっていく、その過程を見られる水族館はえのすいだけです。
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いやー、マニアックですね。
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鈴木:江の島名物のシラスを生きた姿で見てもらいたいという強い思いから始まり、試行錯誤を重ねて、今では安定してシラスを見せられるようになりました。見た目通り、とてもデリケートなので飼育にはものすごく神経を使います。江の島の水族館である、われわれにとって、やっぱりシラスは特別な魚ですね。江の島でシラスを食べたならば、ぜひ生きた姿を見に来てほしいです!
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楢崎:新江ノ島水族館は展示がバラエティに富んでいるので、ファミリーで楽しめますよね。照明や映像投影などの演出があったり、タッチプールがあったり。
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鈴木:そう言ってもらえるとうれしいです。


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楢崎:あと、水族館好きとして言わせていただくと、深海の展示がすばらしいんです。


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鈴木:そうなんです! JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)と共同で、深海生物の長期飼育法について研究しています。潜水艇や無人探査機でしか行くことができない1000m級の深海の様子や生物を見ることができます。相模湾の深海調査で活躍し、2002年に引退した潜水艇、「しんかい2000」の実機も展示しています。
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深海生物 ダイオウグソクムシ

それは貴重ですね、見てみたいです!
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鈴木:ぼくも水族館が大好きで、国内に水族館が120館くらいあるんですけど、学生のころからおそらく100館は行っている、というくらい好きで……

100館!? 鈴木さんの水族館愛が、すごいです。
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鈴木:はい、大好きです(笑)。今までいろいろ見てきた中でも、シラスと深海の展示には驚いてもらえる自信があります! ちなみに、日本で初めてイルカショーを行った水族館でもあるんですよ。そして、バンドウイルカの繁殖に日本で初めて成功した水族館でもあり、世界初の水族館生まれ飼育下5世のバンドウイルカも誕生しています。


きっかけは「フウセンウオのグッズを作りたい」

今回のコラボレーションは、どういうきっかけで始まったのですか?
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鈴木:社内で「フウセンウオのかわいいグッズを作りたい」という声が上がったのが始まりで、フウセンウオの主担当であった、ぼくが協力させていただきました。えのすいではフウセンウオの飼育繁殖に力を入れていて、人気もありますが、グッズがほとんど無かったんです。フェリシモさんがマニアックな再現をすることは、ほかの水族館とのコラボ商品を見て知っていたので、一緒に仕事ができることがとても楽しみでした。

えっと、タカアシガニは……?
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楢崎:完全にこちらの持ち込み企画です(笑)。新江ノ島水族館でタカアシガニの脱皮に密着した動画があるんです。6時間も8時間もかけて脱皮して、スルッと出てきてからだが大きくなってるのを見て、おもしろい! と思って……あと、実は、カニは前からチャレンジしたかった生きものなんです。

新江ノ島水族館さんがOKを出したことにびっくりです。
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鈴木:最初の打ち合わせでいろいろと生物の話をしている中で、タカアシガニの脱皮は殻の中からひとまわり大きいカニが出てくるという話をしたんです。そしたら後日、企画が上がってきて……そこに食いついたのはさすがだと思いましたね(笑)。ぼくもフェリシモさんがつくる商品の1ファンですが、改めて(マニアックな)こっち(飼育員)寄りの人たちだと思いました(笑)。
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楢崎:ただ常識外れなものが好きなだけです。結果、自分の首を絞めることになります(笑)。


フウセンウオのオスとメスを比較できるぬいぐるみ!?

おふたりがこだわった点を教えてください。
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鈴木:「リアルさ」です。フウセンウオ(やその仲間の)デフォルメされたかわいいグッズは世の中にあふれているんですが、リアルな商品はほとんど見たことが無くて、ましてやオスとメスの違いを明確に再現しているものはまず無いと思います。

オスとメスでは大きさも、ヒレの形も違うんですね。
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鈴木:そうなんです。繁殖をくり返し、長期で飼育ができているからこそ、多くの生のデータを提供でき、よりリアルなフウセンウオのオスとメスを作ることができたと思います。累代繁殖飼育をしている水族館だからこそ、オスとメスを作ることに意義があり、そこにこだわりたいと思いました。ちなみに、現在は水族館生まれ飼育下4世のフウセンウオが誕生しています。
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左が<メス>、右が<オス>
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楢崎:商品開発中に鈴木さんが提供してくださるテータの量が、とにかくすごいんです。ゆるキャラを作るのとはワケが違う。からだの大きさや色、ヒレの形など、オスとメスを比較するというアカデミックさが求められました。
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鈴木:ぼくは水族館のグッズも好きで集めていますが、オスのフウセンウオは見たことないですし、おそらく作ろうとするも人もなかなかいないでしょうね。大きくなると(一般的な感覚では)黒くて地味でかわいくなくなっちゃいますからね(笑)。ぼくはフウセンウオのオス、好きですよ。
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タカアシガニについては、いかがでしたか?
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鈴木:カニって、脱皮中は防御力がほぼゼロなんです。脱皮中に死んでしまったり、敵に襲われたり、うまく脱げなくて脚が折れてしまったり、命がけなんですね。水族館でも脱皮が始まったら、飼育員はみな、はらはらドキドキしながら見ています。
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楢崎:サンプルを作っているとき、鈴木さんにお電話で脱皮を見守るときの気持ちをうかがったんです。「そりゃあうれしいですよ。きれいな形で出てきたらおめでとう! と思いますっ! 」という答えが返ってきて、そんな話を聞いているうちに、私たちも愛着がどんどん湧いてきて。

脱皮って新たな命が生まれるよう……出産と同じ感覚ですね。
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鈴木:そうですね。そんな脱皮のこだわりポイントは、脱皮後の大きさです。脱皮前よりもひとまわり大きくなっているんです。脱皮するとき、タカアシガニは後ろ側(眼と反対側)がパカッと割れて、ズルズルっと徐々に出てきます。

おなか側が割れるなんて衝撃です!
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鈴木:みなさん驚かれます。でもやはり驚くのは、脱皮直後のサイズですね。本当にこのサイズが中に入っていたのか……と思うくらい大きくなっていますよ。はじめは殻がやわらかいんですが、徐々に堅くなっていきます。今回は甲羅の大きさなどから割り出したデータなどをもとに、脚の形状や長さなどをできるだけ忠実に再現してもらいました。
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楢崎:鈴木さん、脚の節ごとに長さを指定されるんですよ!! 10本の脚が脱皮前と脱皮後で計20本。それぞれ3つの節にわかれ、表裏にもわかれるので、脚だけで合計120パーツあるんですよ……! さすがにメーカーさんも頭を抱えていました(笑)。
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タカアシガニの脚パーツのデザイン画

聞いているだけで、クラクラしてきます……
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鈴木:ほんとうは脱皮後に堅くなるところまで再現したかったんです。空気が入れられるようになっていて、ふくらませられたらおもしろいかなと。


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楢崎:その話を聞いたときは、さすがに背筋が凍りつきました……。


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鈴木:そうでしょうね(笑)。


最終的には納得のできとなりましたか?
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鈴木:はい、無理難題にも最大限こたえていただきました(笑)。ぼくがいちばん気に入っているのは、殻から出た直後にデロッとしているところ。実際にデロッとしてるんですよ。脱皮殻と脱皮直後のタカアシガニを両手で持っているこの写真、本当に超リアルです。いちばん気に入ってます。タカアシガニの飼育員ならわかると思います(笑)。
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なるほど、勉強になります。
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鈴木:あ、でも、殻はともかく、脱皮直後の方は間違ってもこんな風に持ってはダメですよ。硬くなるまでは絶対安静ですから。あと、チャックを開けて出てくるのもいい! フェリシモさんといえばチャックなので(笑)。どこかでチャックは使いたかったんです。フェリシモさんとコラボで作るならば”普通”では全国のフェリシモファンの方々に面目が立たないと思っていたので……。この商品であれば「えのすい、なかなか攻めたな」と一目置かれるのではないかと期待しています。
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楢崎:そんなふうに言っていただけるなんて、もう感無量です! フウセンウオは小さくて意外に再現が難しかったんですよ。カニはクレイジーだし(笑)。だからこそ、お互いにアイデアを出しながら、いいものができたのかなと思います。

鈴木さん、最後にひとことお願いします!
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鈴木:この度は大好きなフェリシモさんと大好きな水族館グッズを作るという夢のような経験をさせていただき、ありがとうございました。フェリシモさんのモノづくりの熱意に負けないよう、これからも高い意識で仕事に励みたいと思います。あと、最後に一つだけ……タカアシガニを購入したみなさん、上2枚のタカアシガニの写真(殻と中身を両手で持つ感じと脱皮途中で脚が出切っていない感じ)、これ本当に本物そっくりですからね、お買い上げの際にはぜひ、こんな感じで遊んでください!(笑)


▼コラボ商品の販売ページはこちら
もちムニュ触感 フウセンウオマスコット〈メス〉
¥980(+10% ¥1,078)


タカアシガニ脱皮ぬいぐるみ
¥5,800(+10% ¥6,380)


※フウセンウオ<オス>は新江ノ島水族館オンラインショップで限定販売中!

新江ノ島水族館
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※営業時間、休館日は、HPをご覧ください。
住所/〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1
TEL/0466-29-9960 ※コラボ商品の水族館現地での販売時期は現在未定です。


▼YOU+MORE!×水族館 スペシャルサイトはこちら 1920x521_b.jpg

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