2021.9.15
日本の暮らしに古くから伝わるお寺の教え生活文化を通じて、現代を心豊かに暮らすヒントを見つけるコミュニティー「フェリシモおてらぶ」。
ヒントのひとつに「写仏」があります。写経はその昔、むずかしい経典をたくさんの人にわかりやすく伝えるために生まれたと言われています。仏画を書き写すことで仏教を身近に感じ、学びを深めていったのでしょう。今回は特別にフェリシモおてらぶの部長ひさよしが、安養寺の副住職 清水昭徳(しみず しょうとく)さんに「写仏」×「ととのえる」をテーマにお話をうかがってきました。
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清水昭徳さん(大悲山安養寺 副住職)
佛教大学を卒業後、神戸と福井にて日々の法務をつとめながら、お寺に足を運びやすくなる一般向けのイベント「テラメキ」を開催。
安養寺 Twitter: @anyoji_kobe
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ひさよし(フェリシモおてらぶ部長)
仏像と仏教とカレーが大好き。ニッチなレッスンプログラム企画を得意とするプランナー。
お寺にお邪魔していますが、ゆっくりとした時間の流れの中にいるだけでととのう感じがしています。さて、「ととのえる」といっても宗派によっていろいろなかたちがあって、私はそこが仏教のいいところだと思っているんです。例えばある宗派は、ひとり修行でつきつめていくかたち。またこちらの浄土宗のように常に仏さまと一緒に歩むかたち……「これが正解!」がないところがすばらしいと思います。
私たちの宗派で「ととのえる」ということを考えたとき、ひとつの答えとしてあるのが「ととのわなくてもいい、そのままでいい」ということです。無理にととのえようとせず、どんな状態のあなたでも受け入れますよという意味なんです。つらいときも楽しいときも、「南無阿弥陀仏」ととなえながら仏さまと一緒に生きていく。仏さまにお任せしますよ、という気持ちになればいい。そういう考え方もあるということです。
必ずしも「ととのえなければならない」ということはないんですね。たとえば、心とからだのバランスがくずれてしまった人がいたとして、その人が「ととのえなければ」と強く考えすぎると苦しくなるかもしれない。そういうときに、とてもいい考え方ですね!
また、仏教では宗派に関わらず「こだわるな」という教えがあります。執着しないということです。こだわり執着するからしんどくなる。いったんそのこだわり、つまり世間のしがらみや偏った考えから、少し距離を置いてみるのです。お寺で仏さまのお顔を見るだけでもいい。自分の抱えているものを仏さまのところにちょっとだけ置かせてもらう時間を持つことです。写仏にもそういう効果があるかもしれないですね。
仏さまのお姿を描くことによって、ひとり静かに仏さまと向き合う時間を作ることができますもんね。描いて向き合うことで、気持ちがととのうということもありますね。
「ととのえる」というよりも「ととのえさせてくれる」というイメージでしょうか。仏さまのお顔を見てお姿を描く、つまり写仏は「向き合う」ということにもつながります。そして「それでいいですよと」受け止めてくださるのが仏さまなのです。ととのえさせてくれて、道を歩ませてくれるサポートをしてくれるのです。
なるほど! 自分からととのえにいくのではなく、ととのえさせてくれる時間としての「写仏」というわけですね。
さて、今日は「ととのえる」と「写仏」についてお話をうかがいましたが、そもそも「ととのわなくてもいい」というのは目からウロコでした。とはいえ、悩みやストレスは日常的なことで、そのもやもやした気持ちを預け、リセットできる「写仏」の魅力に改めて気づかされました。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
安養寺(あんようじ/ 神戸市中央区)
正式名称は、大悲山安養寺。浄土宗に属するお寺。西暦950年尼崎に建立、江戸時代に現在の場所に移築され、以後神戸にて安心を養うお寺として地域の人たちに親しまれています。安養寺の聖観音菩薩は、境内の墓地のそばにあり、先立った方々を見守っておられます。
How to Shabutsu
用意するもの:半紙(白い紙)、筆ペン、マスキングテープなど。
描き方:下絵に半紙を重ね、固定して筆ペンでなぞる。
上手に描くコツ
①まずは心を落ち着けて深呼吸。
②頭などの短い線が集まる箇所から筆を走らせる練習を。
③最後に顔を描いていき、目を描き入れてフィニッシュ!
やってみよう
ととのえる「写仏」をやってみよう!
この画像をダウンロード&プリントアウトして、写仏に挑戦してみよう!
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からだや心の調子をととのえる。身のまわりをととのえる。暮らしをととのえる。空気や環境をととのえる。さあ、あなたは、どこからととのえる?やってみた!の数だけととのっていくハズです!
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みんなの感想
1. みつみつさん 2021年09月23日 10:32
お寺部の大ファンです。グッズも集めてて 写仏もスクラッチも実践してます。
本当に 無心になり時間を忘れさせてくれます。これらがなければ 今頃病気になってたと思います。ありがたや ありがたや。これからも グッズ等 期待してます。
2. くまさんのあるじさん 2021年11月18日 10:55
写仏、数年前に始めました。このところあまりできてなかったのですが、この記事を読んでまたやろうと思いました。無心で描いてる時間が好きです。
3. もーもさん 2021年11月24日 10:54
メモして、ジーンとして。やってみたくなって、どれにクリックするか悩みました。まずはやってみます!整えても整わなくてもいいんだよっていうのが心に響きました。
4. よりじゅんさん 2021年11月25日 10:24
母がもうすぐ一周忌を迎えます。
自分の卒業幼稚園がカトリックだったり西洋音楽などを勉強してきたせいで、何処となく気持ちの基本はキリスト教かも?と思ってはいます。
でも、一神教には到底なりきれず、菩提寺が浄土真宗と言うこともあって、
なんとなく「拘らない!」という精神は伝わってはいましたが、
お仏前に毎朝ご飯を供える、は出来ないけれど、食事前に自分のご飯を仏前に持って行き「今日も有難うございます、頂きます」と手を合わせてから頂きます。
拘らない、のが怠ける方向でなければ良いのかなぁ?と思っています。
たった今、清水さまのお話を伺い、
色々な意味で執着しない、距離をおいてみる事で、かたちは整わなくても、気持ちが少しととのって行ければ良いのかも??と思えて、とっても嬉しくなりました!
有難うございました!(^-^)m(_ _)m