断るのってむずかしい
ティップス
本当はちがうのに……
「大丈夫」って言っちゃうくせをやめたい
もうけっこうギリギリで、実は全然余裕がない。
でも、「お願いしてもいい?」と頼まれたら、なぜか「大丈夫です」と返してしまう。
あとになって「また言っちゃった……」とひとりで自己嫌悪。
そんな経験に心あたりがある方も、少なくないんじゃないかなと思います。
今回は、そんな「大丈夫のくせ」について考えてみました。
本当は大丈夫じゃないのに……

心の中では「ちょっと厳しいかも」「これ以上抱えたらしんどい」と感じているのに、思わず言ってしまう「大丈夫」のひとこと。
相手を困らせたくないし、「できません」って言うことが怖い気持ちや、本当は期待に応えたい気持ちもきっとありますよね。
だからこそ、多少無理をしてでもがんばってしまう。
でもそれが重なって、気がつけば、大丈夫なふりを続けることがあたりまえになってしまっていたりします。
どうしていつも「大丈夫」って言ってしまうんだろう。
できないときには「ごめんなさい、むずかしいです」と言って、しんどいときには誰かを素直に頼ることができたら、どんなに気がらくだろう。
わかってはいるのに、断るってやっぱりむずかしくて、結局「大丈夫」ってことばで終わらせてしまう自分。
あとから自分のことを責めたり、そんな自分が嫌になってしまうことも、きっとあるのではないでしょうか。
本当は大丈夫じゃないのに……という気持ちを抱えながら働く毎日って、想像以上にエネルギーがいりますよね。
なぜ「大丈夫」って言っちゃうんだろう?
迷惑をかけたくないから
断ったら失礼かな。困らせたくない。
そんなふうに相手を優先するあまり、だったら自分が我慢すればいい、と思ってしまうことってありませんか。
迷惑をかけないように。自分でもっとがんばらないと。
そんな気持ちばかりが強くなってしまって、気づけば「大丈夫」と言ってしまっている。
とくに責任感が強く、まじめな人ほど、自分の限界をあとまわしにしてしまいやすいものです。
断ることに罪悪感があるから
「頼まれごとを断る」って、なんだか悪いことのような気がする。
断ったら、冷たい人だと思われるんじゃないか。
こんなふうに、断ることにネガティブなイメージを持っていたりすると、「今はちょっと無理かも……」と感じても、その気持ちに蓋をしてしまうことがあります。
断るなんて申し訳ない。気を悪くさせたくない。
そんな罪悪感みたいな気持ちが、無意識のうちに自分を追い込む選択につながってしまっているのかもしれません。
相手の期待に応えたいから
なんでも引き受けられる自分でいたい気持ちや、できないと言うことに抵抗がある気持ちも、「大丈夫」と言ってしまう理由のひとつかもしれません。
特に仕事の場面では、余裕がなくても頼られることがうれしかったり、評価を落としたくないという思いが強くなっていたりして、ついつい無理を重ねてしまいがち。
期待に応えようとするあまり、それを裏切ることが怖くなったりして、どんどん自分の本心が置いてけぼりになっていく。
それが重なることで、心も疲れてしまうのではないでしょうか。
「大丈夫」の代わりに使いたいことば

「大丈夫」って便利なことばだけど、本当はすごく広くてあいまいでもあります。
だからこそ、自分の気持ちに少し正直になれる「代わりのことば」をもっておけると、心がちょっと軽くなるのかもしれません。フレーズをいくつか組み合わせてみるのもおすすめですよ。
「少しだけ時間がほしいです」
とっさに返事をしなきゃと焦るときほど、自分の本音が置き去りになりがち。
そんなときは、まず「少しだけ時間をいただけますか?」と伝えてみましょう。
ひと呼吸おいて、気持ちにも少し余白が生まれることで、自分の本心にちゃんと耳を傾けることができるようになるはず。
「今すぐには決められないけど、ちゃんと考えたい」という誠実さも伝わるフレーズです。
「ありがたいけれど、今はむずかしそうです」
たとえば上司からの頼まれごとだったりすると、はっきりと断ることがむずかしい場合もありますよね。
でも、「頼りにされてうれしい」という気持ちと、「今はむずかしい」という自分の状態、どっちも大切にできるのがこのことば。
たとえば、「うれしいお話ですが、今ちょっと手がいっぱいで……」といった伝え方。
本当はやり遂げたい、でも無理かも……という葛藤の部分も含めて、自分の状況を丁寧に伝えられることばです。
「〇〇ならできそうです」
まったく引き受けないのではなく、「この部分ならできそう」と伝えるのもひとつの選択肢。
たとえば、「今日中はむずかしいけれど、明日の午前なら対応できます」というように。
できることとできないことを、自分の中で線引きしておくことで、あとから無理をして後悔するのを防ぐこともできます。
自分のリズムも大切にしつつ、相手の思いも尊重できるようなことばです。
「大丈夫」と言ってしまうくせの裏側には、きっと、これまでずっとがんばってきた自分の歴史があるのかもしれません。
だからすぐには変えられなくても大丈夫。
無理に言いかえようとしなくても、「あ、いま無理して言っちゃったかも」って気づくだけでも素敵な一歩です。
「いま、本当はどう感じてる?」と、自分に問いかけることから始めてみてくださいね。
STAFF
text:Oyama.
illustration:lilyco