-タケナカのこれ思てんねん。-
第8回『一人称について思てんねん』
こんにちは。
ことば部部員のタケナカと申します。
今年でアラサーの道に一歩踏み出しました。
昔から読書が好きで、基本的にどんな本も読みますがテーマが重ための本が好きです。細かいことが気になり、つい言い過ぎて母から小姑と呼ばれた事があります。
こんな私が普段うっすら思っているあれやこれを徒然に書くエッセイ「タケナカのこれ思てんねん。」
毒にも薬にもならないけど「なるほどなぁ」となるかもしれない、超プラシーボなエッセイです。
募集しているみなさんの「思てんねん」なこと、今回もたくさんの投稿をありがとうございます。その中で気になったコメントをご紹介。
マキシマムザぴーちゃんさん
「「あたし」「わたし」「アタクシ」「ワタクシ」どっちが正しいとか聞こえがいいとかあるでしょうか。。。
あたし → 若い、女子・女子寄りの方が使う?
わたし → 妙齢、男子も使う?なんだったら公式の場では男女関係なく「わたし」か。。。
アタクシ → オタクっぽい(偏見)字面が影響?
ワタクシ → 公(おおやけ)っぽい、式辞とか政府発表とか。。。」
第8回は一人称について僕の思うことを。
今回もひとつ、お手柔らかにどうぞ。
「Come back 俺!」
一人称のお便りが来た!
自分の呼び方に悩んで足掛け26年、未だにぐらついて安定しない。(後述するが途中で自ら壊した)「自分のことなんか好きに呼んだらええがな」と一刀両断もできるけど、こういうことでモンモンと悩んでいる人は意外と多いはず。
人間って不思議で愉快ですね。
ちなみに私の口頭での一人称は「ワタシ」である。というか、言い馴染みすぎてほぼ「アタシ」になっている。
中学生になり徐々に自意識が芽生えてくると、誰もが一度は通ってしまう道がある。厨二病だ。黒歴史を量産する時期であるが、大抵の人なら高校生あたりで自然と抜けるもの。ただ、残念ながら治療に酷く時間がかかってしまい、私は大学3回生まで厨二病を患っていた。(だから怖くて同窓会に行けない!)
学生の頃、人に会う機会の多いゼミに所属していたこともあり、丸メガネに七三分けと比較的こざっぱりした見た目だった。(今はジャケットのイラストのように髪も長くヒゲもボーボー)
ある日トイレの鏡で自分の姿を見た時、ハマっていた漫画の影響もあってか「データ系のキャラ」になろうと決意した。今まで自分のことを「俺」と言っていたのに突然「ワタシ」と呼び始め、使ったこともないようなカタカナ用語を必死に覚え、挙句の果てには大抵の会話に数字とエビデンスを求めた。どう考えても異世界転生大失敗である。(最悪すぎてはっきり覚えている)
周囲の動揺と注意を振り切り、データのタケナカとなるよう努力をしたのだが、いかんせん根がベタベタな文系で怠惰だったがために長くは持たず、いつも通りガサツなタケナカに舞い戻った。はずだったが、なぜか一人称の「ワタシ」だけが靴裏のガムのようにこびりつき、「俺」と言うとなんだかむず痒くなる体になってしまった。
自意識と一悶着あったあの頃から数年が経ち、今やワタシが馴染みすぎてほぼアタシ呼びだ。こういうキャラも悪くないかとも思っていたが、やっぱり客観的に見るとなんだか恥ずかしい。
「まぁええか」で済むのか済まないのか、鼻先でぶらぶら揺れる変な悩みである。
そういえば、一人称を同じく「アタシ」にずらして治らなくなった友人がいる。(我ながら類友!)彼は接客販売に就いているのだが、アタシ呼びのお陰かマダムのお客様から異常に評判が良いらしく、営業一位を獲得していた。この話を思い出すたびに、人生はどこにチャンスが転がっているか分からないものだなとしみじみ感じる。
「一人称は擬態する」
どんな呼び方だと聞こえがいいのかとのことだが、マキシマムザぴーちゃんさんは理解して上手に使い分けているように思う。(だって式辞なんて言葉が使えるんだから)
とはいえ、「あたし→若い、女子・女子寄りの方が使う」などの通説だけが正しいというわけでもあるまい。 落語に出てくる町人達は自分のことを「あたしぁねぇ…」と言うし、「アタクシ」もオタクだけでなくお嬢様のような圧倒的気品やブレない貫禄や気位、高飛車な感じを表現することもある。(髪型は金髪縦巻きロールで、苗字は絶対西園寺か綾小路!)
つまるところ、一人称をどう設定するかによって、相手に感じさせるキャラクターや印象を操作できるわけだ。 「一人称+イントネーション」が一番直感的で効果的なセルフプロデュースの方法かもしれない。
セルフプロデュースと聞くと「個性を目立たせること」や意識高い系に感じ、鼻つまみに思われがちだが、その本質はむしろ「周囲とのカモフラージュ」にあるのではないだろうか。
人は環境が変わると、そこに適応するよう自分自身を組み換え、時には性格や趣味嗜好すらも作り変える。己を曲げず無理に押し通す人もいるが、上手くいった話はあまり聞かない。
弱肉強食な世の中。周りと一線を画すビビットカラーはパッと鮮やかで目を引くが、出すぎた杭は狡猾な捕食者に食い物にされて、はいさよなら。我々のような一介のソーシャルアニマルは保護色を全身に塗りたくり、防衛本能を高めたほうが身のためではなかろうか。(そう考えたら、一人称アタシのヤツって色々とギリギリですね)
どんな一人称がいいのかという悩みにそっと寄り添い、マルっと解決するつもりだったが、結局のところ『自分の呼び方さえ決めかねてモジモジしている男がモヤっと自語りをしただけ』になってしまった気がする。周囲とのカモフラージュだなんだと偉そうに語っていたが、どうやら私自身が一番自分を持て余しているようだ。
人のフリ見てなんとやら。アドバイスをする前に己がどう見られているか、もっと考えるべきなのだろうナ。
好きと嫌いとマイルール、自我と自意識にがんじがらめのぐるぐる人生。
そんな中で普段思っていることをポツポツと書いていきます。
今回も「タケナカのあれ気になるねん。」を大募集!私が気になっていることに、みなさんのとっておきの知恵や経験、アイデアをお裾分けして教えてもらうコンテンツです。
いま気になることは『一人称をアタシから俺に直す方法』について。
どんなアイデアでも構いません、ぜひ教えてください。(本気で)
「思てんねん。」のご投稿や「気になるねん。」のご回答はこちらから。

次回の「タケナカのこれ思てんねん。」もどうぞお楽しみに。
