-ことば部の本棚-
銀河の片隅で科学夜話

「われわれが生きるのはただ美を発見するがためであり、他のすべては一種の待機である。」

引用されたハリル・ジブランの言葉が、この本の世界の導入としてとてもしっくり力強く心に残る。

装丁から美しく、なめらかでずっと撫でていたい表紙をめくると、

古書のような生成りの紙に描かれた望遠鏡の挿絵が最初に目に飛び込んでくる。

科学夜話とタイトルにもある通り、ベッドサイドの黄色い光に照らされるこの一ページを眺めるのが私はとても好きだ。

理論物理学者の著者が、真夜中にひっそりと科学の講座を開いてくれるように、

教えてもらわなければ知りえない、様々な科学的疑問をわかりやすく、かつ叙情的に紹介してくれる。

• 流れ星はどこから来る?

• 宇宙の中心にすまうブラックホール

• 忘れられた夢を見る技術

• 反乱を起こす奴隷アリ

• 銀河を渡る蝶

テーマを目にするだけでも「確かに気になる!それってどういうこと?」と胸が高鳴るものばかり。

読んでいると、幼い頃、夜中にふと外に出て空を見上げた記憶がよみがえる。

真っ暗だと思っていた空が思いのほか明るく、その先に広がる宇宙や、私たちの生の始まりと終わりについて考え、途方もない不安や疑問で胸がいっぱいになったあの夜。

眠りにつく前にそんな感覚を取り戻させてくれるのが、この本の魅力なのです。

構成も「第〇夜」と夜ごとに章が進んでいくため、一日の終わりにページをめくるのにちょうどいい。すべてを理解しきれなくても、新しい知識でほんの少し重くなったまぶたを閉じると、心地よい眠りに落ちていける。

日々の喧騒の中で忘れがちな美しい謎をそっと思い出させてくれる。

『科学夜話』は、そんな夜の読書にぴったりの一冊です。

text&photo:たん(フェリシモことば部)


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