-部員のつぶやき-
色にあふれた毎日で

人生のある瞬間を思い出すとき、真っ先に思い浮かぶのはいつも、色。
未来がわからなくていつもどこか不安だった学生時代、帰り道に見上げた空は頼りない夕焼けの茜色。
ひとり暮らしをはじめてすぐ、近所のスーパーで材料をそろえて朝ご飯につくったホットケーキにかけたシロップはやさしい橙色。
仕事でうまくいかなくて、自分に悔しくて泣きながら寝た夜の部屋は深い紺色。
おーなり由子さんの「きれいな色とことば」は日々が色であふれていることに気づかせてくれる。こころに、ことばに、音楽に、時間に。
中学生のころ、入学したてではじめて訪れた図書館で最初に借りた本だった。
やさしいことばと絵で、色を基点としながらさまざまにえがかれる作者の日々の生活にひきこまれた。多感な時期にこの本に出会えてよかったと思う。
大人になった今、読み返してみると昔より自分の中にもっと色が増えたと感じた。それはきれいな色もみにくい色も含めて。
本の中にあるこの言葉がとくに心に残る。
「色は、同じ色でも、見る人やタイミングによって、さまざまに変化してうつる不思議なもの。日常の中に空気のようにあたりまえにあって、見えるけど説明ができない、ゆたかなもの。」
自分の中の色をあつめるように、探すようにこれからの日々も過ごしていきたい。
text&photo:たっきー(フェリシモことば部)
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