-部員のつぶやき-
バトンを渡す

4月13日(日)大阪・関西万博 開幕。
フェリシモも万博内に『felissimore[フェリシモっと]』というお店をオープンした。

万博いいなあ、うちの会社も出店するんだなあ、凄いなあ。
そんなことを思っていると、ある日「大阪・関西万博をことば部的に取材してほしい」との依頼がことば部にやってきた。

万博にいけるんだ!という気持ちと、ことば部的な取材ってなんだろう?という気持ち。
その二つを携えながら、大阪・関西万博、そして『felissimore[フェリシモっと]』に今回お邪魔させてもらった。

この企画をメインで動かしている鈴木さんという先輩がいる。
普段はカタログの編集とことば部の活動をしている自分が、仕事で鈴木さんと関わることはあまりないけれど、席が近く、熱を持って、てきぱきしている姿を見て、自分も勝手にやる気をもらったりしていた。

ことば部の部長として、鈴木さんが今回どうやって万博に出店することになったのか、そしてどんな想いがあるのか、知りたい。
知って、学びながら取材が出来たら、それはことば部的な取材になるのかもしれないな、とそんなことを思いながら、取材の準備をした。


取材当日

今回取材をさせてもらったのは、大阪・関西万博開幕の3日前。
鈴木さんとは夢洲駅前で待ち合わせをした。

予定の時間よりもかなり早くに夢洲駅についた。
せっかくなら、新しくできた夢洲駅も堪能してみたかったのだ。

ハイテクなトイレ、長い電光掲示板、“ようこそ夢洲!”の文字、いろんなものにワクワクしながら夢洲駅で待っていると、「ごめんごめん!待った?」と鈴木さんが。

「夢洲駅のトイレがすごかったです!」「電光掲示板にワクワクしました!」と、まだ夢洲駅を降りただけの自分が、既に抑えきれない興奮を鈴木さんに話していると、あっという間に目的地『felissimore[フェリシモっと]』へと到着した。

『felissimore[フェリシモっと]』は万博といえば!な大屋根リングのすぐそば、海外パビリオンの立ち並ぶ「ウォータープラザマーケットプレイス東」にある。

扉をガラッと開けると、中にはいろいろな動物や商品たちが、今にも動き出しそうにこちらを見ている。
ある動物は自分を審査するかのようにじろじろとこちらを見て、ある動物は自分を迎え入れてくれているかのような所作で、来客である自分に興味のない動物たちもちらほらといた。

そんな動物たちに囲まれながら、気になったことをひたすら鈴木さんに聞いてみる。


店内の動物たちのひみつ

ーやまぐち(筆者:以下やまぐち)
入る前も、入ってからも、まるで動物たちが生きてるみたいに迎えてくれますね。
この場所のテーマやモチーフってありますか?

-鈴木さん
この場所をエンターテイメントの場所にしたいんだよね。
動物が今にも動き出しそうになってるのは、「もし人間がいなかったら動物はどんな風に動くかな」みたいなことを思いながらこの場所を作ったから。
商品にも、場所にも、ストーリーや世界観があったら面白いよね。

ーやまぐち
なるほど、そう言われるとしっくりきます。
確かにさっき入ったとき、動物たちの場所に自分がおじゃました、みたいな感覚にもなりました。
それにしても、こうやってみると本当に色んな商品がありますね。

ー鈴木さん
たくさんあるよね。どれも面白い商品ばかり。
世界観もそうだけど、やっぱりフェリシモの商品って語れば語るほど面白いから、それが分かるような展示にもしてる。
万博も展示がメインじゃない?
だからこの場所はある意味、フェリシモの万博でもあるんだよね。

“面白い”が広がる

そうした会話をしているうちに、話をする鈴木さんの顔が徐々にほころんでいくのを感じた。
この場所への鈴木さんの想いを拾って、学んで、記事にする。
それがことば部的な記事になるよな、そんなことを思いながら、他にもいくつか聞いてみた。

ーやまぐち
鈴木さんはフェリシモのどんなところが好きですか?

ー鈴木さん
好きなところね。
まあ、もちろんたくさんあるけど、会社のマインドみたいなところが1番かなあ。
例えば、この万博への出店って上から言われたわけじゃなくて、最初は自分がやりたいって思ったんだよね。
もちろん壁はたくさんあったけど、それを超えて、今このお店になってる。
フェリシモはそうやって自分たちがやりたいって思ったら形になる場所だと思うんだよね。
ことば部もそうだよね?

ーやまぐち
そうですね、まだ始まったばかりですけど、短歌賞だったり、たくさん集まった素敵な言葉を眺めている瞬間は、好きなことをさせてもらってるなあ、と思います。
鈴木さんが万博の出店をやりたいと思ったのは何故なんですか?

ー鈴木さん
単純に“面白そう”って思ったんだよね。
自分の好きなフェリシモを、万博に出店できるなんて嬉しいし、今回何十年か振りに大阪で万博をやることになったけど、今回を逃したら次いつになるんだ?って思ったんだよ。
大変なこともあるけど、面白そう、が勝っちゃう。
そしてそれを会社が後押ししてくれる。“面白い”の気持ちが広がっていく。
そうして、伝わっていけばいいよね。

バトンを渡す

自分も、会社のそんなマインドに惹かれて入社して、今ことば部をしているな。
そんなことを思いながら、鈴木さんの話を聞いていた。

ーやまぐち
鈴木さんにとって、この『felissimore[フェリシモっと]』のゴールってなんでしょうか。
このお店が完成した時点で1つゴールは迎えてると思うんですけど。

ー鈴木さん
そうだね、お店の完成もそうだけど、このお店を出店したことでフェリシモの次にも繋がればいいなあ、とも思ってる。
まずは自分が面白いと思って出店した今回の店舗を、最大限たくさんの人に楽しんでもらえるものにする。
そして、今回の万博出店が前例になって、次に誰かが会社でこんなことしたい!って思った時にちょっとでも背中を押せたらいいなとも思ったんだよ。

ーやまぐち
なるほど、今回だけの成功がゴールじゃなくて、そこから広がっていくものに目を向けられているんですね。
鈴木さんが、次の世代に目を向けるようになったきっかけってあったんでしょうか?

ー鈴木さん
きっかけかあ。
自分が今のチームを先輩から引き継いだ時に、先輩から「このチームを頼む」って言われて、凄くバトンを渡された気持ちになったんだよ。
その時「もうそういう時期なのか」と思ったし、やっぱり今自分が持っているこのバトンを誰かに渡す準備もしないとなとも思ったんだよね。
今回の出店に向けて、社内のたくさんの人の力を借りたし、特に同じチームの後輩2名には本当にたくさん協力してもらったんだよね。
みんな本当に頼もしい。
楽しみながら、何かのきっかけにもなったら最高だよね。


インタビューを終え、メモを閉じる。
鈴木さんはこの後も取材があるらしい。

なんだかあたたかい気持ちになりながら、お店を出る。
出て少し歩けば、巨大なモニターや、今まで見たことのない形の建造物、無機質な正方が無数に重なった”何か”など、圧巻のパビリオンが立ち並ぶ。
このお店は、本当に凄いところにあるんだなあ。

ふと振り返ると、動物たちがこちらを見て見送ってくれている。
その光景はなんだか優しく、楽しい。

一体どんな人たちが『felissimore[フェリシモっと]』に出会うのだろう。
そして、どんな人たちがバトンを受け取るのだろう。

バトンを受け取った自分は、ひとまず走ってみようと思う。
もちろんそれは楽しみながら。

帰り道、そんなことを思った。


おまけ

ーやまぐち
せっかくなので、このお店の中で、鈴木さんのおすすめ商品をいくつか教えて欲しいです。

ー鈴木さん
おすすめか~、山ほどあるけど、やっぱりアイデア商品は面白いよね。
羊の毛刈りぬいぐるみとか。タオル昆布とかね。

ー鈴木さん
それと今回は3300円以上購入した人に、付けて帰ってもらえる笠も用意したんだよ。
こういうものを身に着けると気分も上がって楽しいよね。

面白さと楽しさの詰まった『felissimore[フェリシモっと]』
ぜひ足を運んでみてください。

text&photo:やまぐち(フェリシモことば部)