-第1回ことば追求会-
なぜ本を読むのか
フェリシモことば部の新たな取り組み『ことば追求会』
ことば部の部員がそれぞれ話したいテーマを持ち寄り、その内容について話します。
第1回のテーマは『なぜ、本を読むのか』
本も言葉も好きな部員たちが好き勝手に小一時間お話。
ぜひお読みください!
【今回参加した部員】
やまぐち
フェリシモことば部 元部長。
音楽・映画・テレビ、ジャンルは問わず色んなエンタメが好き。
好きな言葉に出会ったらメモするようにしている。お腹が弱い。
たっきー
フェリシモことば部 部長
現代短歌・小説・エッセイをよく読む。
映画・ドラマ鑑賞も好き。最近は、近所の商店街を散歩して開拓中。
退勤後のひとりラーメンにはまっている。
あんぱん
お笑い・ラジオ・アート・インテリアが好き。
心がザワザワしてきたときは、原田マハさんの小説を読んで落ち着かせている。
鼻が高く、「先端恐怖症だからこっちを見ないでほしい」と言われたことがある。
たん
詩、エッセイを好んで読み、次の漫画大賞を予想するのが楽しみなくらい漫画が好き。
雑記を小学生から続けている。飲料を飲み終わるのがすごく早い。
なぜ本を読むのだろう
ーやまぐち
本を読むことの良さって、色々あると思うんですけど、
僕は紀行文とか、旅のエッセイが好きで。
読んでると家にいながら色んなところに行けるみたいな、
書く人の文章が上手ければ上手いほど、本当に自分が行ったみたいな気持ちになるのが、1つあるなあと思います。
あと、読めば読むほど、知識が増えていくのも好き、というか楽しいです。
年齢を重ねることって、ちょっと嫌なんですけど、例えば体力とかって衰えていくから、
ある時からピークに戻すための練習になってしまうけど、
本って知識が重なっていくじゃないですか。
それって凄く素敵やなと思います。
そう思うと、年を重ねることも楽しくなる。
…ちょっと一人で話過ぎてるかも、、、
ーたん
全然いいですよ、そういう回にしましょう!
ーやまぐち
ありがとう、、、!
本屋さんに行った時、色んな学術書から雑誌から小説からが同じ場所に並んでて、あの瞬間って楽しすぎません?
なんか「無限だ!」みたいな笑
今から自分は何でもできるみたいなことを思えるのがいつも嬉しい。
ーたっきー
その「無限だ!」って感じ、凄いわかります。本屋さんに入ると、いつもワクワクする。
ーやまぐち
あれいいよね。
自分ばっかり話しすぎだけど、あと1つだけ。
ごめん!
少し前に、テレビ番組であるアーティストの特集をしていた時に、そのアーティストは歌詞が凄く魅力的な方で、その人が「ターナーが描くまでロンドンに霧はなかった」という言葉を引用して、これがアーティストの使命だ、ということを言っていて。
※ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー:19世紀のイギリス・ロマン主義を代表する画家
どういうことかというと、画家のターナーが描くまでは何かぼんやりしてるなっていうのをみんな思いながらロンドンで過ごしていて、それをターナーが絵として描いたことによって、自分たちが認識してたのは霧なんだ、ロンドンは霧の町なんだ、という認識が生まれた。
本も、歌詞もそうですけど、そういうことってめっちゃあるじゃないですか。
生活の中で、あるけど、知ってるけど、誰も言葉にしてないというか、通り過ぎてしまっているものを言葉にすることによって形になるのが良さというか。
気付いているけど言葉を知らないから形にしてない感情とか物事に気付けるようになる、っていう良さもあるなと思いました。
ーたん
私はずっと国語の教科書がめっちゃ好きで、授業よりも先に気になっちゃって教科書の最後まで目を通してたりとか、そういうことを結構してたんです。
そのときは挿絵があったから情景がわかってたけど、文字だけの小説とかを読むようになって、
元々挿絵でわかっていた情景を私の中で補完できるっていうのが、いいなって思います。
それが本が好きな理由の1つでもありますね。
ーやまぐち
なるほどなあ、想像の余白みたいなのが大きいのもいいよね。
ーたん
ドラマとかも最近は割と観る側に委ねるものも増えてきてはいるけど、
やっぱりそのときの女優さんの表情だったりだとか、読み取れるものが多くて。
けど文字はその文字だけで、自分の世界を作れるというか、そういうのが結構おもしろい所だし、
好きだなと思います。
あとはどんな時に読むかっていうのを思った時に、私はすごい自分が孤独だなと思った時に本を読みたくなる。
ーあんぱん
それ分かる、私もそうかも。
ーやまぐち
それって具体的にどういうことなんやろう?
ーたん
ちょっとむずかしいですけど、本は本でも、今は例えば、こういう時にはこうしたらいいよといった自己啓発のような本もたくさんあるけど、そういう正解不正解というよりは小説とかで、
「あ、これって今この気持ちが言いたかったんやな」みたいなのが、たまたま自分がその言葉をさがしてる時に巡り会えたりして。
その時の脳の興奮というか、「これや」みたいなのが一番ダイレクトに感じるのは文章なのかなというか。
ーあんぱん
みんなと本の話をするの、改めて楽しいですね。
私はみんなほどたくさん読んでないと思うんですけど、原田マハさんが凄く好きで。
なんで本が好きなんやろって考えた時に、私、ラジオも好きで、本も、ラジオも、自分の頭の中で作っていくじゃないですか。
骨組みがある妄想だなと思ってて。
ーやまぐち
僕もラジオ好きなので、凄く分かります。いいですね、骨組みのある妄想。
ーあんぱん
さっきの孤独な時に読むって話に、「あ、めっちゃわかるわ」って思ったんですけど、
何か私、どういう意味を持って生まれてきたんやろって、何のために生きてるんやろって思う時がパッとあって。
周りの人がみんな子どもを産んでとか、自分が人生の主人公ではなくなって、バトンタッチしていくみたいな。
子どもが主人公になっていく友だちもいるなかで、「えっわたしはまだ主人公でいいの?」って考えてたら、気持ちがスンってなっちゃう時があって。
そういう時に原田マハさんの小説『ハグとナガラ』を読んで。
ミドル世代の女性二人が旅行に行くんですけど、そんな中で仕事の仕方を変えなくてはいけなくなったりとか、お母さんが病気になって介護が必要になったりとか、そういう中で悩みがあっても、生きるために旅をしてる、みたいなところで結構救われて。
やっぱり救われる言葉がめっちゃあるっていうのが、本の好きなところやなと思います。
ーたっきー
原田マハさんって元々キュレーターだったんですよね。
ーあんぱん
そう、だから表現が詩的で、凄くアートなんですよ。
好きな1節があって、ちょっと読んでもいいですか?
ーやまぐち
ぜひ、聞きたいです。
ーあんぱん
『すべての木々は葉を落とし、痩せた灰色の枝を冷気の中にさらしていた。』
っていう部分。
普通に枯れた木なんですけど、でも何か痩せた灰色の枝とか、冷気の中とかっていう表現から、天気悪そうやな、寒そうやなとか、すごい自分の中で想像して、その木の前にいるみたいみたいな。
言葉で凄く近くなるっていう。
映像があるものってみんなが同じ映像を見てるけど、自分だけが居る世界を妄想の中で作れるから、より近く感じるみたいなところが凄く好きです。
ーやまぐち
いや、、、これいい時間ですね。全部いい。
こんなのやりたかったです。
もう何か全部うんうんってうなずいちゃってます。
ちょっと話がそれちゃうんですけど、キュレーターって学芸員ってことですよね?
ーあんぱん
そう、だからアート系の作品も多いですね。
有名なアートが出てきたりして、楽しいです。
モネの作品もあるんですけど。それを読んでモネの家に行きました。行きたくなって。
ーたっきー
すごい!素敵ですね!
ーあんぱん
フランスの田舎の方なんですけど、そこに一人で。
ーやまぐち
読書が行動にも繋がったんですね。
ーあんぱん
そうなんです。マハさんが描くモネの家の話がすごく好きで、
見たいってなって行きました。
ーやまぐち
めっちゃいいですね。いい旅。
普通にいくより、絶対そっちの方がいいですね。
あの文章で書いてたところやみたいな。ワクワクしますね。
ーたっきー
私がよく読むのは現代短歌とかエッセイとかで、どんな時に読むかって考えたら、自分の日常がマンネリしてきた時に読むことが多くて。
わたしも孤独を感じた時に読んだりします。
エッセイとか現代短歌って本当にその辺にある日常の出来事を素敵に切り取るというか、何て言うか、その切り取り方を見て、「あ、私の日常捨てたもんじゃないな」みたいな気持ちになれるのがすごい好きやなって思ってて。
さっきやまぐちさんもおっしゃってた、形とか、名前がなかったもの、自分の感情に、名前や輪郭がつく感覚が好きでよく読みます。
ーやまぐち
確かに俺もその瞬間が一番嬉しいかも。
ーたっきー
それと物体としての本もめっちゃ好きで。
電子書籍もあるけど、やっぱ紙の本が好き。
図書館が好きなんですけど、ちょっとカビっぽい感じの匂いとか、たまに古い本やったら、ジブリ映画の「耳をすませば」にでてくるような、図書館カードみたいなのが残ってる時があって。
それを見た時の誰かの借りた番号を見たら、「わあ」ってなってうれしいです。
ーやまぐち
さっきたんの話を聞いていて思ったのは、エッセイとかを読んだときに「え、これって自分だけが悩んでたわけじゃないんだ」みたいな瞬間もめっちゃ好きで。
たっきーの、図書館カードの話ももしかしたら近いかも、同じ何かを共有してる人たちというか。
それがとにかく嬉しい瞬間が本を読んでるときにあって。
すごい救われたというか、一人じゃないんだみたいな気がする。
ーたん
何万字の中からの一行で惹かれるときってあるじゃないですか。
この一部分を読むために、読んでたんだなというか。
そういう時グッとなりますよね。
ーやまぐち
確かに。
本に限らずかもしんないですけど、例えば4回5回読む本とかあるじゃないですか。
読む時期によって響く部分がちょっと違うというか。
それで今の自分にちょっと気付くときがありますよね。
「あ、自分は今、こういう言葉が欲しかったんや」みたいな。ちょっと鏡に近い感じですね。
ーたん
鏡、確かに。分かります。
ーやまぐち
すごい、こんなのやりたかったって感じ。
第1回にふさわしい。
本を読むことについて、話すこの時間、凄く凄く楽しいです。
続きは第2回へ。
せっかく”ことば部”を社内に作って、『ことば部の本棚』というコーナーを載せたりしているのだから、本のことを話したい!と思って始めた『ことば追求会』。
思いのほか盛り上がったので、この続きは第2回に載せようと思います。
1回のお話が盛り上がりすぎて、2つに分けたほうがよさそう、なんて凄くぜいたくな悩みです。
頑張って編集しますので、続きはもう少しだけお待ちください。
それでは次回のことば追求会で。
talk:ことば部部員
text:やまぐち(ことば部部長)
