-部員のつぶやき-
ことばの連想

わたしの想う愛らしいにんげん。
コバエにたかられるあなた。
その一瞬だけは周囲を気にせずブンブンと身をよじって、小さな虫に翻弄されている。
なんとも無力。いじらしくてかわいらしい。
コンビニから出た瞬間封を開けるあなた。
行儀が悪いと言われたらそこまで。待ちきれず食べてしまう気持ち、とてもわかります。
ホットスナックならなおさら。かわいいは許容だと思う。
自分の記憶と重なって、知らないあなたの感情がなんとなくわかる時、なんだかほっこりして、にんげんの愛らしさに触れたなと、にやりとする。
上記は、「ハエ」「コンビニ」というワードから連想し、最終的にどちらも「愛らしいにんげんについて」を想像するに落ち着きました。
谷川俊太郎さんの「ナンセンスカタログ」は、日常にひそむ物事をテーマにしたショートショートエッセイです。
目次には、五十音順で単語が並んでおり、「アンテナ」から、「ぬめぬめ」「あのう」といった擬音語や感動詞まで様々。一見どんな話が展開されるかわからない、気になるあれやそれやの単語に対して谷川さんの思いのたけが綴られています。
エッセイと共に描かれている和田誠さんのゆるくてシュールな挿絵も魅力的。
言葉はいつだって記憶と結ばれていて、言葉を増やすために些細な生活を注意深く観察させてくれる。
言葉から連想する楽しさと、言葉の面白さを知ることができた本でした。
text & photo :たん(フェリシモことば部)