私の住む街 ヘルシンキ

あの人の素敵暮らしを拝見 2020.08.19

私がこの街に住んでもう13年になります。

移住してから最初の数年は、フィンランドに 住んでどれくらいになるのかとの問いに答えると、「随分フィンランド語が上⼿ね」とよ く褒めてもらえたのですが、最近はそのような会話もめっきり減ったように思います。気がつかぬうちに、少しずつ⾊々なことがフィンランド化してきているのかもしれません。
 

⼈⽣を通しての“ものさし”

東京で⽣まれ育った私にとって、ヘルシンキはサイズもほどよく⼩さく、⾃然も⾝近で住みやすい街です。

⼤都会の刺激を求めている⼈にとっては、恐ろしく退屈な街かもしれな いし、ラップランドの⼈⼝10名たらずの村で育った知⼈にとって、ヘルシンキは⼤都会過ぎるそうです。
⼦供の頃に住んでいた街というのは、⼈⽣を通して⾃分だけのものさし になるのかもしれません。
 

私たちが住むのは、1950年代に建てられた集合住宅が建ち並ぶエリア。家の裏には保護林が広がっていて、地元の⼈はよく散歩をしたり、雪が降るとクロスカントリーをしてい ます。

このエリアが好きで、娘が⽣まれる前に同じエリア内で引越しをしました。
今年の春、夫婦ともに⾃宅で仕事をするようになってから、朝か⼣⽅に森に散歩に⾏く習慣ができました。

5⽉頃から新芽が⼀気に花が咲くように葉っぱになり、森はキラキラと輝く⾊とりどりのグリーンに染まりました。勢いよく変化しつづける⾃然を⾒ることで、この先どうなるのだろうという不安も少し和らいだように思います。
 

コロナの影響で、⾃宅にいることがすっかり定着してしまった訳ですが、「ふつう」に⽇常⽣活を送っていた頃には、街の中⼼地に近いハカニエミという地区のスタジオに通っていました。

同世代の3名のイラストレーターのサトゥ、ヨガの講師でグラフィックデザイナーのメリ、本や児童⽂学の作家のカイサと⼀緒にシェアしています。
海が⾒える⼩さな スタジオでは、時に話に花が咲き、なかなか仕事がはかどらないなんていう⽇もあります が、会社に所属せず、フリーランスで仕事をしている私にとっては、仲間がいるというのはなんだか⼼強く感じています。

スタジオ勤務で⼀番楽しみにしているのは、もちろんランチタイム。ハカニエミ地区には地元の⼈が愛するマーケットがあり、おいしいランチレストランがたくさんあります。
私のお気に⼊りはマーケット内のベジタリアン⾷堂、ルーツ。 週に2−3回通っていたので、店員さんとはすっかり顔なじみになってしまいました。

新鮮な野菜、⾖類、ハーブをふんだんに使った料理は⾒た⽬も美しく、とってもヘルシー。ヘルシンキではサステイナビリティや環境問題に関⼼から、⾁を⾷べず、野菜や⿂を⾷べるようにしている⼈が増えています。
 

「旅する気分で……」と想いを込めて

2020年5⽉末に、フィンランドの配⾊に関する本を出版しました。「北欧フィンランド配⾊ブック」(⽞光社)という本です。

デザイン&アート、街、インテリア、⾃然という4章から構成されていて、2章ではかくたみほさんの素敵な写真でヘルシンキの街並みを紹介しています。
なかなか気軽に旅にでかけられなくなってしまいましたが、この本を眺めながらフィンランドに旅をしているような⼼地になっていただけたらという想いを込めて作りました。
 

Profile

島塚絵里さん

島塚絵里さん

ヘルシンキ在住のテキスタイルデザイナー。
2007年に移住し、アアルト大学でテキスタイルデザインを学ぶ。マリメッコ社のアートワークスタジオでデザイナーとして勤務したのち、2014年より独立。現在はマリメッコ、サムイ、キッピスなど国内外のブランドにデザインを提供している。Pikku Saari(コッカ社)というテキスタイルブランドをプロデュースしている。サントリー、オールフリーのCMの衣装デザインを担当。2018年、宮古島にオープンしたHotel Locusのオリジナルテキスタイルをデザイン。

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