ディスプレイデザイナー・暮らしの装飾家ということ

あの人の素敵暮らしを拝見 2019.08.29

こんにちは、暮らしの装飾家のミスミノリコです。
今日は私の仕事についてお話ししたいと思います。

どこにもない肩書き「暮らしの装飾家」

現在の私の肩書きは「ディスプレイデザイナー・暮らしの装飾家」です。「暮らしの装飾家」という肩書きは自分で考えたものです。それまでは、ディスプレイデザイナーやスタイリストなどと名乗っていましたが、年とともに活動が多岐に渡り、その肩書きでは自分の活動を表現しきれなくなってきてしまいました。しかし、なかなかしっくりする肩書きも思いつかない。長い間悩み続けて出した答えがこの一風変わった肩書き「暮らしの装飾家」です。

会社員時代からショップのディスプレイの仕事をしてきました。インテリアショップや百貨店など閉店後のショーウィンドーの中で作業をしている姿を見たことがある方も多いかもしれません。シーズンごとにテーマを変えて装飾全体を請け負う、その部分はディスプレイデザイナーの部分です。その傍ら、料理や雑貨のスタイリング、暮らしまわりの提案のお仕事もコツコツと続けてきました。暮らしまわりの提案=暮らしを楽しむための提案と言ったらいいでしょうか。なくてもやっていけるけど、知っていたら自分もまわりの人もちょっと楽しくなるようなアイデアです。

例えば、プレゼントをかわいくラッピングして喜んでもらいたい、気持ちが盛り上がるテーブルコーディネートでお客さまを迎えたい、簡単で引き立つようなパーティーデコレーションを知りたい、などなど……このコラムでもご紹介するリメイクも暮らしの装飾家の仕事と思っています。なくても困らないけど、知っていたら暮らしがもっと楽しくなる、の「もっと」の部分をまるごと「装飾」と呼ぶことにし、自分の活動自体を「暮らしの装飾家」と位置付けました。

動機はいつもシンプル。誰かを喜ばせたい。

ショップのディスプレイはシーズンごとにイメージをがらりと変え、来店されたお客さまに店の提案を伝える販促の役割があります。こちらのディスプレイは東京のspiral marketさんの今年の夏ディスプレイですが、今期のメインビジュアルの写真を出力した紙で紙飛行機を折って店内中に飛ばしました。すべて外注するわけでなく少し手仕事の要素を入れるのが自分の方法です。涼しげな透明感あるブルーに、夏休みや旅を想起させる紙飛行機でこの季節のワクワクする感じを演出しています。いいディスプレイはそこに働くスタッフさんのモチベーションアップにも繋がるのでとても重要です。
一方、暮らしの装飾家の仕事はとってもささやか。喜んでくれる人の範囲はもっと狭まります。でも、どちらの仕事も誰かの喜ぶ顔をみたくて手を動かすところから始まります。

新しいものを取り入れるディスプレイの仕事。やぶれたものを直して使うお繕いの仕事。真逆なことに思えるけれどこれがわたしの軸になっています。特に、初めての著書『繕う暮らし』を出版したころにその思いは強くなりました。

虫食いやシミのついた洋服を持ち寄ってお繕い方法をレクチャーするダーニングワークショップも今の自分に欠かせない活動となりました。お気に入りのお洋服が直せた時の生徒さんのうれしそうな顔はいいものです。誰かの喜ぶ顔が見たい。誰かの役に立ちたい。動機はいつもシンプルです。

点が線となる瞬間

さて、最初の写真は初めての著書『繕う暮らし』の出版記念展示の会場のディスプレイの一部です。
いつもディスプレイの仕事では限られた時間内でスムーズにディスプレイができるように、パソコン上でディスプレイラフを図面に沿って描きます。ふだんのディスプレイデザイナーとしての仕事のスキルが自分の展示会でも役に立ちました。当日は友人らの協力もあり、ディスプレイラフのイメージ通りに時間内に施工することができました。

↓ こちらがラフ

↓ こちらが完成したディスプレイ

会場ではお客さまをお迎えしながらダーニングワークショップも開催。2回目の展示会ではお出しするケーキも自分で焼くことに挑戦しました。オープニングパーティでは夫がケータリングのフードを担当してくれました。ショップディスプレイ、スタイリング、暮らしの提案、お繕い…それぞれ点でやってきたお仕事が線になって繋がった瞬間です。

始めた頃にはこれが何になるかはわからない。でも続けていくとなんとなく見えてくる。さらに続けることで、自分のこの世の中での役目も少しずつ見えてくるでしょう。

これからの自分たちの役目。それは自分たちの場を持ち、発信すること。
今まで繋がってきた人たちの点とこれから繋がる人たちの点を私たちが線で繋ぐことができたら……そう考えています。

Profile

季節の「暮らしびと」

ミスミノリコさん

ミスミノリコさん

ディスプレイデザイナー/暮らしの装飾家
店舗のディスプレイや雑誌、書籍のスタイリングなどで幅広く活躍する一方でふだんの暮らしに取り入れられる、デコレーションアイデアや手作りの楽しさを発信している。著書として『繕う暮らし』『小さな暮らしのおすそわけ』『繕う愉しみ』(主婦と生活社)がある。また、ダーニングマッシュルームをはじめとした繕いワークショップも各地で開催している。

※「暮らしのBlog」にて内容ご覧ください。