暮らしがつむぐ、いとしいミトン その2

2021年11月8日(月曜日)

前回に続き、素敵なミトンを生み出す、編み物作家の塩田素直さんへのインタビューをご紹介します。
異国での暮らしは、塩田さんの作品作りに大きな影響を与えたようです。

冒険のようなベルギーの日々から

図案のアイデアはベルギーで出会った方眼ノートのストック。

素直さんの転機は2016年冬、ご主人のお仕事でベルギーに引っ越したこと。そこから約三年にわたるベルギーでの生活は、どんなものだったのでしょうか。「首都ブリュッセルのアパートに移り住み、日本の山暮らしから生活は一変。建物が古くて水道水のカルキがひどく、排水溝はすぐに詰まるのに、修理業者さんは呼んでも約束どおりに来てくれない……。文化も価値観も日本とは何もかも違っていて、それはもう冒険みたいな毎日でした。慣れないフランス語圏での子育てなどすべてが挑戦だったのですが、それも楽しかったです」。
 

旅は大きなインスピレーション源。この写真はオーストリアのハルシュタットの景色。

海外で暮らす大変さも「冒険」として楽しめる、素直さんの明るいお人柄もさることながら、さらに心ひかれるのが、「家族でたくさん旅行ができた」というお話。
「ベルギーは小さな国なので車で一時間も走ればドイツやフランスに入れるし、地下トンネルを電車で抜ければイギリスにも行けるんです。ヨーロッパ周辺を20カ国以上、ネタ帳と編み物を持って旅しました。ラトビアで出会った少女たちの花冠、ポルトガルの美しい本屋さん、ベルギーの石畳やレンガのおうちなど、目に映るものがどれも新鮮でかわいくて、街や人からたくさんのインスピレーションをもらいました」
 

旅は大きなインスピレーション源。写真はベルギーで見かけたブルージュレース。

そんなヨーロッパでの暮らしの中で生まれた作品が本になったとのこと。「『旅からうまれた わたしのミトン』では、それぞれの作品がうまれた背景についてエッセイとスナップで紹介しています。編み方のヒントやコツもきちんとおさえているので、手芸本としてはもちろんですけど、旅行記としても楽しめる、ちょっぴりユニークな仕上がりです」

長男の恵太朗くんが7歳の時に描いた水彩画。子どもたちの個性やいききした創作からも気づきがある。

◉ 塩田素直さん、待望の1冊

『旅からうまれた わたしのミトン』
塩田素直(文化出版局刊)
定価1,500円(税別)
2021年9月17日発売

目の前に広がる異国の景色、ふと耳に流れ込む現地の人の声や雑踏、初めての料理から立ち上る香り……写真に留めおくことのできない、旅での一瞬一瞬の心のゆらぎ、そのきらめきは手に取ることはできないけれど、確かにそこにあった光のかけら。この本で紹介される塩田 素直さんのミトンには、そんな旅の思い出の宝が、ヨーロッパ10ヵ国の旅で出会ったモチーフに編み込まれ、やさしくあたたかく手を包んでくれるようです。旅のエッセイとともにそんな素直さんのミトンを紹介する本書は、図案とともに編み方のていねいな解説もあるので、旅に思いを重ねながら編み物を楽しめる、とても豊かな1冊です。
次回につづく

塩田 素直さん

兵庫県出身。結婚を機に愛知県に移住し、編み物制作を始める。2014年に初の個展を開催。2016年末から3年間のベルギー生活を経て、2020年1月末帰国。現在は、のどかな里山で田舎暮らしを楽しみながら編み物をする日々。

https://sunaoknitting.com/
instagram – @shiotasunao

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