この夏、バカンス先のランド地方から日帰りで、バスク地方のSt Jean de Luzという小さな港町まで出かけてきました。目的はおいしいものとバスク織。3年ぶりのバスク地方に胸を高鳴らせて訪れたのですが、やっぱり最高に楽しく、バスク織のお土産を手にほくほくとした気持ちで帰路についたのでした。そんな、バスク地方からのレポートをどうぞ。
私がバスク織の生地に出会ったのはまだパリに住む前、観光でパリを訪れた時。その当時マレ地区にあったお店で、バスク織の布巾を自分へのお土産に買ったのが最初でした。その当時の私には、バスク織は一枚しか買えないくらい高級な布。手に入れたのはしっかりした生地で、生成りに青の線が入ったクラシックなもので、フランスの布巾(トーションと呼ばれている食器拭き)でしたから大きさもあり、自分の部屋の棚に敷いてインテリアとして使っていました。
その後、初めてのひとり暮らしをパリで始めてからは、好きなものに囲まれて生活するのが楽しくて、蚤の市や雑貨屋さんなどでいろいろなものを買い集めていきましたが、その中にはもちろんバスク織の布巾も含まれていました。
そんな私がバカンスでバスク地方を訪れるようになり、お気に入りの街 St Jean de Luzで出会ったのが『lartigue1910』というバスク織の専門店。
最初は、ひときわにぎわっているので、入店してみたのですが、そのセンスにのっけからビビビっとノックアウトされたのです。ほかにもたくさんあるバスク織のお店の中でも群を抜いてセンスがよく、トラディショナルな生地とモダンな生地が融合している空間が、見ていてとても心地いいのです。
そもそもバスク織は昔、農家の人々が、虫や太陽の強い日差しから家畜を守るためにその背中部分にサイアルと呼ぶ布をかけていたのが起源だそう。数百年前は青色の線が入ったものが主流で、各農家によってストライプのパターンが違ったようです。
さわるとひんやりし、太陽の強い日差しから守るのに最適で、栽培する農家もあって手に入りやすい亜麻がその素材に使われていたようですが、今では、コットンなど素材もさまざま。色も青だけでなくバスク地方の旗の緑や赤など、その時々ではやりもあります。今は定番的なデザインや、モダンなデザインなどいろいろチョイスができるのが楽しいですね。
私はどこに旅をしてもその土地のオーセンティックなお店を探します。また、私たち家族は気に入ったところを何回もリピートして旅をするので、旅ごとに気に入ったものを買い足せるのが旅の醍醐味のひとつでもあったりします。
だから、バカンスで訪れるバスク地方で、このバスク織のお店があることが、大きな喜びのひとつ。わが家で愛用中のバスク織のクッションはまさに、バカンスごとに買い足しているお気に入りのアイテムで、今年ももちろん買い足しました。
それにしても、これだけたくさんのバスク織のお店があるのに、実際にバスク地方で生産を行っているのはここ『Lartigue1910』ともうひとつのお店だけなんだそう。予約をすれば工場見学もできるそうなので、次回は工場見学をしてみたいなと思っています。そして次訪れる時は、カーテンを作るためのバスク織の生地を買おうと今回の訪問で決意。暖かみのあるしっかりした生地で作るカーテンは素敵に違いないと思いつつ、もうすでに次のバカンスが待ち遠しくてなりません。
TAKANAKA MASAE
雑誌や広告でファッションコーディネーター&スタイリストとして活動中。
パリに住んではや20年、毎日自転車でパリの街をパトロールしています。
Instagram 移動花瓶屋さん @cabin.e.paris パリの日常 @massaetakanaka
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