手仕事で届けたい あたたかな いとおしさ

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愛らしくて、ほんのり甘くて、やさしげで。みずみずしい感性がギュッと詰まっていながら、不思議とどこか懐かしいデザインが手にする人の心をとらえて離さない、ハンドメイドブランドhanasugiyama。デザイナーの杉山巴南さんの「好き」が詰まった宝箱のようなアトリエで、立ち上げから3年目を迎えるブランドについて、ハンドメイドを仕事に選んだ思いについて、たっぷりと伺いました。

作ることの先にある、人に届ける喜び

杉山さんは、2024年に武蔵野美術大学を卒業したばかり。過去に本誌に登場していただいた作家の中でも最年少の、若きデザイナーです。文化服装学院に通っていたというおしゃれなお母さまのもとで育った杉山さん。小さなころからバッグやお人形のお洋服などを手づくりしてもらっていた影響で、ご自身も手芸が大好きに。古着やアンティークを愛する青春時代を経て、スタイリストや舞台衣装制作などへの興味がふくらみ、表現力や技術を学ぼうと武蔵野美術大学へ。

卒業制作として発表した2024秋冬コレクションより。 PHOTO : キッカワレイ

在学中、友人とふたりで展示を開催したところ、SNSでそれを見たショップから声がかかり、実店舗で手づくりの洋服を販売することに。ドキドキしながら迎えた販売会では、なんとすべてに買い手がついたそう。こうして杉山さんの才能は、在学中からどんどん花開いていきます。

「自分が作ったものを実際に身に着けたいと思ってくださる方がいることに、本当に感動しました。私は作ることがただ好きで作っていて、作ること自体に喜びを感じていたけれど、販売の経験を通して、作ることのもうひとつ先の喜びがあるんだ、ということを知ることができました」

卒業制作として発表した2024秋冬コレクションより。 PHOTO : キッカワレイ

2024年に大学を卒業後は、インターンでデザインを学びつつ、卒業制作で発表した作品をそのままデビューアイテムに携え、ハンドメイドブランドhanasugiyamaを立ち上げました。手作業のあたたかみと自由さ、小さないとおしいモチーフを身に着けることから得られる安心感を大切にしたくて、商品はほとんどすべてが杉山さんの手による一点もの。そして、実際に日常を彩るリアルクローズです。

左:刺しゅうやレースをちりばめた一点もののキャップは杉山さんご自身も愛用中。 / 右:大好きな猫のモチーフをあしらった、手編みの真っ赤なニットベストとニットキャップ。

「大学に入学したころは、非現実的な舞台衣装に興味を持っていたのですが、洋服を作り続け、また買ってくださる方にお届けするうちに、興味の対象が『華やかで舞台的なもの』から『日々のおもしろさやいとおしさ』に移っていきました。それはやはり、自分の手で作ったお洋服が、着てくださる方の日常になじんでいく様を目のあたりにすることができた経験によるものだと思います。きらびやかなドレスなど、特別なときに着るお洋服も素敵だけれど、やっぱり私の作るものは、日常的にたくさん着られるもの、その方の毎日を楽しくしてくれるものであってほしい。だから、リアルクローズにはこだわっていきたいと思っています」

布を自在に動かしながらミシンで縫う、フリーモーション刺しゅうがほどこされた作品。「お守りのように持ち歩いてもらえたらうれしいです」

一点一点自分で作るスタイルは、生産量も限られ、手間もかかるもの。それでも杉山さんは、今日も手を動かし、いろいろなアイテムを作り続けます。
「自分が幼いころ、母に作ってもらったバッグを持つのがうれしかったように、手づくりされたものへの愛着って特別なものがあるし、背景の物語に想いをはせる豊かさもある。だから、たとえ大変でも、自分の手で作るということは大切にしていきたいです」

毎日が特別になる、一点ものの日常着

左:デッドストックの図案帳をインスピレーションの源に。 / 右:作業しやすく整理された、住居兼アトリエの一角。

少女時代にあこがれた真っ赤なニットや、お花やリボン、レース編み、愛らしい刺しゅうの動物たち。hanasugiyamaのデザインは、新しさと懐かしさが同居する不思議な空気感や、人の手から生まれたもの特有のあたたかさに満ちています。

刺しゅう入りシャツの図案のトレース。動物たちがチャーミング! 

「古着やアンティークも好きだし、80〜90年代のファッション誌を眺めるのも好き。特に意識はしていませんが、私の作るものは、そういうたくさんの「好き」から影響を受けているのかもしれません。流行や売れ筋を意識することはあまりなく、自身の日々の思い出やそれに伴う感情を見つめ直し、毎回のテーマを決めて制作しています。

大切な材料であり、杉山さんの宝物でもある、さまざまな場所で出会ったアンティークのリボンやレース。

今回杉山さんに監修していただいた、クチュリエの『日常にアンティークのときめきを おめかし方眼編みの会』は、ガーリーでどこか懐かしい雰囲気のおめかし小物を方眼編みで作るキットです。「フェリシモさんでは以前からお買いものを楽しんでいましたが、お仕事をさせていただくのははじめて。いつもはあまり編み図も描かずに作っている私が、すべてのお客さまが同じものを作れるように導くキットを作るということには不安もありましたが、こうして素敵なキットができてうれしいです。複雑そうに見えて意外と簡単なので、編み物好きさんはもちろん、初心者の方にも編んでいただけるとうれしいです。どこかで目数が増えたり減ったりずれたりしても、それも手づくりの味だと思うので、あまり気にせず気軽に楽しんでほしいです」

在学中から作り続けている、一点ものの写真集やイメージブック。

着実にファンを増やしつつ、今年で3年目を迎えるhanasugiyama。今後はどんなふうに成長していくのでしょうか。
「受注、制作、発表と、目まぐるしく日々が過ぎていくけれど、それとは別に自由なものづくりも楽しみたいなと思っています。今は、作ることが全部楽しい。ひとつのものを作っていたら、次に作りたいものが頭に浮かんでくるから、それをまた作る。その繰り返しです。先日、ある学生さんが、hanasugiyamaが着たくてバイトをがんばりましたと言って、お洋服を買ってくださって。自分にもそういった経験があるので、私の服を着ることを目標にしてくださる方がいるんだと、うれしく思いました。刺しゅう、編みもの、いろんな手づくりを大切に、これからも着てくださる方の生活に寄り添うリアルクローズを作っていけたらうれしいです」

くったりとしたたたずまいがかわいい、手づくりのぬいぐるみ

杉山 巴南さん監修⭐︎日常にアンティークのときめきをおめかし方眼編みの会

太めの糸をシンプルな編み方ですいすい編み進めると、コーディネートに華を添える素敵なアイテムが完成。身に着けるのはもちろん、インテリアに飾ってもとびきり素敵!

日常にアンティークのときめきを おめかし方眼編みの会

デザイナー 

杉山 巴南さん

東京都出身。2024年に武蔵野美術大学空間演出デザイン科を卒業。在学中より手仕事のプロダクトを制作、発表し、2024年秋冬コレクションよりブランドhanasugiyamaを本格的にスタート。

HP:hnsgympanan.base.shop
Instagram:@hana_no_art_

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