創作への探究心が止まらない手芸界のフリースタイラー / 手芸家・上村幸さん
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刺しゅうに編み物、ソーイング。どんなジャンルの手づくりも好奇心がおもむくままに探求し、自らのフィルターを通して作品の世界観を広げて伝える手芸家の上村 幸さん。手づくりの楽しさを提案する拠点として、定期的にワークショップも開催している大阪のアトリエに訪問し、創作にまつわるお話を伺いました。
遊びから趣味へそしていつしか天職に
昭和レトロな下町風情を色濃く残しながら、おしゃれなカフェやショップが軒を連ねる個性的な大阪の街・中崎町に、手芸家・上村 幸さんのアトリエはあります。「物件を内見したのは昼間だったので気づかなかったんですけど、夜はとてもにぎやかなエリアなので、夜中でも音を気にせずミシンを踏めるのが最高なんですよ(笑)」

あえてジャンルを限定せず、あらゆる技法で自分の表現を確立する上村さんのスタイルを象徴するかのように、これまで手がけてきた数々の作品やこだわりの道具、お気に入りのパーツたちでカラフルに彩られた壁面に、おのずと気分が高まります。

明るく朗らかな口調が印象的な上村さんですが、幼少期は「いつも何かを作っている。おとなしい子」だったとか。「お絵描きと工作、その延長に手芸のようなものがあって、その3つを境界線なく繰り返していました。母は手芸が得意な人ではなかったけれど、針と糸は自由に使わせてくれたので、見よう見まねでナップサックを作ったり、学校に提出する雑巾なんかも自分で手縫いしていました」

何か作ってみたいものがあるときに、どうやったらこのかたちにできるのか、どうすればこの模様になるんだろう?というところから考えて、とりあえず手を動かしてみる。当時はそれが手芸だとさえ意識していなかったそうですが、ものづくりへの探究心とプロセスの基盤は、子どものころの遊びから培われ、現在の創作活動にも影響しているように感じます。

「絵を習っていたこともあり、美術科のある高校へ進学し、そのまま美大に入りました。そこで気づいたんですけど、私には画家になりたい夢も、特別に描きたい絵もなかったんですよね(笑)」 同じタイミングでファッションに興味がわいたこともあり、大学を辞めて服飾専門学校に入学。主にバッグやアクセサリーなど、ファッション雑貨のデザインを学び、卒業後は、パリに本店のある手芸店「ラ・ドログリー」に就職します。

「毛糸やボタン、リボンなど、オリジナルの手芸パーツを取りそろえた特別感いっぱいのお店で、店頭に飾っているサンプル作品は私たち販売スタッフが手づくりするんですよ。ビーズワークが流行したときは、ビーズで作るアクセサリーのデザインを考えて、レシピを作り、必要なパーツをキットにまとめたり。お客さまとの会話も楽しく、一生働きたいと思ったほど素敵な職場でした」

そこから手芸家として活動を始めるには、どういった心境の変化があったのでしょう?
無心に「好き」を続けてきたから今がある
ラ・ドログリーで働きはじめたことで、これまで無意識でやっていた「好き」なことと「手芸」がつながり、35歳のときにグイッと人生の舵を切り替えたという上村さん。

手芸作家としての第一歩は、カフェでのワークショップからスタートします。「作家として誰も見たことのないすごい作品を生み出すより、手づくりしたい人の思いを形にするお手伝いをすることへの興味のほうが大きかったのかもしれません。自分の世界にコツコツと孤独に向き合うより、みんなでワイワイ集まって、おしゃべりしたり、手づくりの楽しさを共有するほうが、自分の性格にあっていると思うんです」

テレビ番組へのご出演、作品集の出版など、活動が多岐に渡り忙しくなった今でも、ワークショップを続けられているのは、そういった気持ちが礎になっているのでしょうか?

「私の本を見て、『こんなの作りました』と、SNSなどを通して交流できる時代ではあるけれど、実際に目の前にいる人が『やった〜! できた!』と、喜んでくださる瞬間に立ち会えるのは格別。手芸が得意な人はもちろんですが、玉結びがやっとくらいの初心者さんにこそ、気軽に参加していただけるように、やりがいと達成感のバランスを考えながら、できるだけやさしくて作りやすいレシピを試行錯誤するのも好きなんです」

クチュリエで監修していただいた「ラティススモッキングで浮かび上がる立体模様 デイリーに使える シャイニーポーチの会」には、どんな思い入れがありますか?
「長い歴史があるわりに日本ではなじみが薄く情報も少ないので、私自身もまだまだ研究していきたい注目技法です。一見複雑でむずかしそうに見えるかもしれないけど、刺しゅうや編み物にも通じる中毒性があり、手が慣れてくると止められなくなる楽しさもあります。実はこの技法、布に図案を引く作業がいちばん大変なんですが、クチュリエから届くキットの布には、あらかじめ図案が印刷できるとのことだったので、数ミリ単位でこだわって、刺しやすくて美しく仕上がる、理想的なデザインに近づけることができました」

最後に、これから挑戦してみたい新しい技法などあれば教えてください。
「いくつかありますが、具体的にはまだヒミツです。私は何が好きって、手芸の『技法』が本当に大好き。手芸は『手技』なので、やればやるほど上達します。その魅力にすっかり取りつかれているので、今後も作家としてジャンルを限定するのはむずかしいかもしれないですね」

手芸家 上村 幸(うえむら みゆき)さん
大阪中崎町のアトリエを拠点に、ソーイング、ニット、刺しゅう、ビーズなどのさまざまなテクニックを織り交ぜ、手芸の楽しさを提案。NHK『すてきにハンドメイド』出演、著書に『布で作る立体模様ラティススモッキング 見てわかる20種類のパターンとアレンジ作品』グラフィック社など。
Instagram:@cherry_hazelutt
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