引き出しの宝物/いとしい手づくり

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引き出しの宝物

「ビーズを絵の具のように使うね」私のアクセサリー作品を見た友人から、そんなふうに言われたことがあります。そう言われてみれば、私の中ではビーズなどの手芸材料と絵の具に明確な区切りはなく、絵を描くようにものを作っているような気がします。

受け継いだもの、集めたものなど大切な材料たち。

時には、道端に生えていた雑草が材料になることもあります。刺しゅう糸やビーズ、母から受け継いだ古いボタンなど手もとにある材料や道具は、長年の連れ合いか幼なじみのような、いとおしい存在です。

散歩で摘んできた草花をリースのように飾って。

パレットのように色ごとに仕分けたハギレや糸、幅ごとに並べたレースなど、いろいろな素材を大切に持ち続けてきましたが、最近は「使うことこそがしあわせ」だと思うようになりました。材料たちにぴったりの舞台を与えられたら、それがいちばんの喜びです。


またものづくりには、自分の心の引き出しを開いて、宝物をそっと取り出すような感覚があります。大好きだったクリスマス、季節の花が咲く祖父や父の庭、母と行った百貨店に並ぶ洋菓子。子どものころに見た情景や感覚など、拾い集めてきた「ときめくもの」が、手づくりを通してふとよみがえることがあるのです。作ることは、記憶や大切な時間にもう一度居場所を与えることだと感じています。

プラ板で作った春色の花たちに、父が植えた桜の木を思い出す。

私がこれまで制作を続けてこられたのは、自分のためというより誰かのためかもしれません。作品を見た人たちが、私と同じように、ときめきや楽しい思い出を宝物として心の引き出しにしまえたら。そんな願いを込めて、おばあちゃんになるまで手を動かせたらいいなと思っています。

イラストレーター・作家 よしざわ いずみ
雑貨・手づくりキットの商品プランナーを経て、転勤族の夫とともに地方を転々。暮らしの中で描いたり作ったりを続けるおうち暮らしクリエーター。
@atelier.izu / @izu.illust

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