アンティークに新たな命吹き込んで / 恋するパリ通信

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アーティストや芸術を愛するおもしろい人たちが住む、パリのよき下町20区にアトリエを構えるMaison hénoさん。何年か前に一度訪れた展示会で、繊細で物語性のある作品に魅了されました。インスタグラムでアップされる作品や蚤の市で見つけたものなども美しくてかわいくって。今回念願かなってアトリエを訪問してきました。

パリで紡ぐアンティークの物語

作家のMaison hénoさんと出会ったのは、息子が通っていた日本語学校でした。 ある日、偶然バスで一緒になっておしゃべりをしたとき、「あ、この方は何かを作っているアーティストなんだな」と直感したのを覚えています。

20区のパリの下町にあるアトリエは、まるでアンティークショップのよう。

日本語学校では、仲よくなれるお母さんはいても、表現活動に深く携わっている方とはなかなか出会えないもの。だから、彼女との出会いはとても新鮮でした。

テディーベアをビーズやレースなどでよみがえらせたもの。

それから何年かたち、誘ってもらった展示会に足を運んでみると、そこには私の大好きな世界観が広がっていて、一気に魅了されてしまったのです。

「たまたま」が重なって、パリに。

彼女がパリに住むことになったきっかけをたずねると、意外な答えが返ってきました。

アトリエで作業するhénoさん

「2000年に一度、フランス留学していた幼なじみがバスク地方について卒論を書きに行くというので、1ヵ月ついていったんです。そこでフランスの南西部にあるPauという街が好きになりました。それからフランスに行きたいと思うようになって、フランス語を独学で始めて。もともと15歳のころに観た映画『ミナ』で聞いた、ロマーヌ・ボーランジェのフランス語の響きが好きだった、というのもあるんですけど。最終的には、今の主人との大恋愛で、結婚のためにパリに来たのが住み出したきっかけなんです」

古いコサージュを分解し、その花びらを縫い合わせて新たな命を吹き込んだブローチ。

何度も「たまたまだった」と彼女は言うけれど、やはりパリという街に呼ばれた人なんだな、と感じずにはいられません。

胸に刺さった、素材との出会い

ものづくりの道に入ったのも、やはり運命的な出会いからでした。

レースをパッチワークしてケープに。

「20歳くらいのころにヴィンテージ服にはまって、ネットサーフィンをしていたんです。そしたら、あるお店でアンティークの赤ラインが入ったリネンとシルクの糸束を見つけて。それがもう、ズキュンと胸に刺さったんです。購入して手もとに届いたとき、『これを何か形にしたい!』って思い始めて」

レースをパッチワークし、ストールにした作品。

何ができるかな?と考えたとき、当時はやりだしていた古いモノグラム刺しゅうに目覚め、独学でスタート。

アンティークのレースやビーズなどを使用してネックレスに。

楽しくて夢中になり、「これを仕事にしたい」と半日でブログを立ち上げ販売を始めました。すると作品は出すたびに完売し、オーダーメイドも常に待ちが出る状態に。

左:19世紀末から20世紀初頭のアンティークの小物入れにボタンなどを縫い付けたオブジェ。月の光だけを頼りにさまよう夜の森をイメージ。

ただ、作品だけで生活していくのは簡単ではなく友人のアドバイスもあって、2004年からは自分で見つけた業者さんから仕入れた素敵なアンティークの手芸用品の販売も手がけるようになりました。以来20年以上、アンティークの雑貨や手芸用品を販売し、作品を作り続けています。

左:人気のブレスレット/右:金具に穴が空いていたので、それを利用してビーズを手縫いした凝ったブローチ。ビーズは1900年代のもの。

精神安定としての「チクチク」

作品に使うアンティークを探すのは、主にフランス国内。昔はパリの蚤の市でも充分だったそうですが、今はなかなかよいものに出会えなくなり、フランス全土、時にはベルギーやイギリスまで足を伸ばすと言います。

コサージュ

「何より、針をチクチクしている時が、私にはヨガをしているように精神が安定するんです。だから仕事というより、私の一部、私そのものだと思っています」

レースや羽、ビーズを縫い付けて小鳥のオブジェに。

そんな彼女のインスタを、私はいつもチェックしています。今回は、素敵なアンティークのコサージュを購入しました。

私が購入したアンティークのコサージュ。

コサージュとしてはもちろんですが、私が集めているお気に入りの花びんにそっと飾りたいなと思います。

Maison héno アーティスト

Instagram:@maison_heno / @heno_paris

TAKANAKA MASAE
雑誌や広告でファッションコーディネーター&スタイリストとして活動中。
パリに住んではや20年、毎日自転車でパリの街をパトロールしています。
Instagram 移動花瓶屋さん @cabin.e.dream

パリの日常 @massaetakanaka

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