みなさん、アンニョンハセヨ! 今月号から正式に連載を始めることになりました。これからみなさんの韓国オンニ(お姉さん)として、みなさんの手づくり生活に活力を与えるような楽しい情報をお伝えして行きたいです。どうぞよろしくお願いします。
韓国の夏の終わりの風物詩、道路沿いにあるものって…?
さっそくですが、みなさんは季節の変わりめといえば、何を思い浮かべますか? 韓国では夏の終わり、道路沿いに唐辛子を乾かしている光景があちこちに見られ始めると、私は秋の訪れを感じます。
この時期に乾かした唐辛子は、秋の間に唐辛子の粉になり、冬入りにキムジャン(キムチづくり)で大活躍するのです。今回は、韓国ならではの手づくりであり大仕事、キムチのお話をしたいと思います。
韓国の国民食キムチは、食卓には欠かせないおかずの一品です。わが家のキムジャンは、年に1回の家族行事。キムジャンの日は、私たち夫婦、義理の祖母を含む夫の家族みんなが一堂に集まり、祖母と母の指導に従ってみんなで作ります。
キムチには、本当にたくさんの材料が入ります。例えば、キムチペーストに入るだしの材料数だけで8種類( 干し鱈・大根・玉ねぎ・ いりこ・ 昆布・椎茸・海老・ ディポリ)。それをレシピのメモも 、計量器も使わずに、ただ母と祖母によっててきぱきと入れられていく様は隣りで見ていると驚きの連続です。長年の経験がしみついた手の感覚というのはすごいですね。すぐにまねはできなくても、いつか私もそうなれたらと思うのです。
ヘジンオンニの「わが家のキムジャン」大公開!
作業を終えたキムチは、それぞれの家族が持参した大きな保存容器に入れて持ち帰ります。次のキムジャンまで、キムチチゲ、キムチチャーハン、豚キムチ炒め、キムチチヂミなど、さまざまなキムチ料理になるため、家ごとに大きな保存容器3つ以上は必要です。各家庭の冷蔵庫で発酵が進んで、よりおいしいキムチに育っていく。これがまたキムジャンのうれしいことのひとつなんです。
一方で、韓国でもキムジャンを行う家はそう多くはなくなりました。キムジャンをすると友人にいえば、すごい!えらい!と言われることもあります。私はお料理がもともと大好きなこともあり、こうしてキムチを作る家に嫁ぐことができてよかったな、と思うのですが、作業がめんどうな分、日本と同じようにキムチをスーパーで買うという家庭が増えているのが現実です。
キムジャンの日のもうひとつの楽しみが、上の写真です。キムジャン終了後のまかない飯ともいうべきお料理で、ボッサム(蒸し豚)と生牡蠣を作りたてのキムチとともにご飯にのせていただきます。もちろんマッコリも欠かせません。これで疲れがすべて吹き飛んでしまいますよ。
このキムチはお正月にももちろん大活躍。私が住んでいる江原道では、お正月料理としてキムチ餃子を作ります。家族で作ったキムチ餃子とお餅が入ったスープを食べながら新年を迎えます。みんなで「おいしくなれー、おいしくなれー」と話しかけながら作ったキムチですから、そのキムチで作った餃子のおいしさは格別です。
手づくりはまごころ。作り手のまごころが作品に込められるように、家族みんなのまごころがこのキムチにもたくさん込めているから、こんなにもおいしいんですよね。
今年は、〝みんなが一緒に〟何かをするという言葉がぎこちない感じになってしまい、残念ながらこのキムジャンもできるかどうかまだわかりません。来年はみんなが一緒に自由に何かがたくさんできるようになったらいいですね。そんな願いを込めて、みなさんよいお正月をむかえてくださいね!
セへ ボク マニ パドゥセヨ!
金 惠珍(キム へジン)
김 혜진 / KIM HYE JIN
生まれも育ちも韓国蔚山の韓国人。第2のふるさとは、通っていた大学と会社がある神戸。現在は、韓国春川でインテリア会社を運営。趣味は料理とお茶を飲むこと。
Instagram 「春川、UNO家のおうちご飯」:@uno_cook
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